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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第111講:パウロの最後の足取りと殉教

 

 

〔今週の御言葉 ガラテヤ220節 使徒言行録の本当の主人公

 

 使徒言行録は前半がペトロ、後半がパウロが主な登場人物となっています。しかしその使徒言行録は、ペトロやパウロの死までをたどるのではなく、特にパウロが妨げられることなく福音宣教を続けたところで閉じています。こうして主イエス・キリストの福音は、今日に至るまで宣べ伝えられ続けていることを強調します。そこでの本当の主人公は、ペトロやパウロと言った使徒たちなのではなく、彼らの中にあって、彼らを豊かに生かし、用いて行かれた復活の主イエス・キリスト御自身であることを明らかにするのです。もちろんそこでは聖霊が生きて働き続けておられましたから、使徒行伝は「聖霊行伝」とも昔から言われていました。その意味では使徒言行録の主人公は、使徒たちを生かして用いられた聖霊であると言うこともできます。しかしまた同時に聖霊は、キリストの霊でもあられますから、やはり復活の主イエスが聖霊を通して生きて働かれたと言うこともできるのです。こうして復活の主イエスは、父の右にありながら、同時に地上で戦う聖徒たちを今も執り成し、力づけ、支えてくださっています。その主イエスの復活の命の中でわたしたちは生き、労しているのです。パウロは「生きているのは、もはやわたしではありません。キリストがわたしのうちに生きておられるのです」と語りました。わたしたちの内にも復活の主イエスが内住して、わたしたちを内側から生かし、支えてくださっているのです。