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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第110講:エフェソの信徒への手紙

 

 

〔今週の御言葉-私訳と黙想 使徒75460節 ステファノの殉教

 強情で心と耳に割礼を受けていない人たち、あなたがたはいつも聖霊に反逆し、あなたがたの先祖たちと同じように、あなたがたも(そうしています)。あなたがたの先祖たちは、預言者たちの誰をも迫害しなかったでしょうか。彼ら(先祖たち)は義である方(キリスト)の到来についてあらかじめ語ってきた人々(預言者たち)を殺しましたが、そうしてあなたがたはこの義なる方(キリスト)の裏切り者、殺人者となりました。あなた方は、御使いたちの指示による律法を受け取りましたが、しかしそれを遵守しませんでした。」

 

 

アブラハム以来の歴史をたどったステファノの説教は、最後まで強情なまま聖霊に逆らい続ける人々に対する悔い改めの呼びかけとなりました。かつて預言者たちを殺したように、命の君である方をも手にかけて殺した彼らに対して、自分たちの罪を悔い改めて神に立ち帰るようにと呼び掛けたのでした。しかし心と耳に割礼を受けていなかった彼らは、このステファノの言葉を聞いていきり立ち、憤慨して彼を殺害するに至ります。そうして預言者殺しの先祖たちの末裔であることを明らかにするのでした。ステファノの説教は、そうした彼らに対する厳しい糾弾の言葉として語られていきますが、そうして裁きの預言をしたこれまでの預言者の系譜の中にステファノは立ちます。つまりこれまでの預言者たちがどうしてそのような厳しい裁きの預言をしたかというと、そこで予告される破滅が起こらないように彼らに悔い改めを促すためのもので、それは悔い改めへの神の招きなのでした。預言者ばかりか、ついには救い主としておいでになられた方さえも殺害した彼らに対して、それでもなお悔い改めの呼びかけが為されます。そして彼らが殺したお方によって、神が結んでくださった「新しい契約」へと思いを向けさせていきます。それはアブラハム契約、モーセ契約、ダビデ契約を踏まえ、それらの古い契約と対比して「新しい契約」と言われます。わたしたちは、毎月第一主日にその契約に招かれ、預かっているのです。