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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第108講:ローマ到着後のパウロ(使徒言行録28章1~31節)  

 

〔今週の御言葉 使徒28章1~31節 帝国の首都ローマにおける伝道

 

念願のローマに到着したパウロでしたが、それはパウロが期待し考えていたようなものではなく、囚人としての護送としてでした。ここに人間の思いを越えた神の御計画のすごさがあると言うことができます。もしパウロが普通の旅行者あるいは滞在者としてローマに行っていたら、パウロを通して語られる福音を聴く人は限られていたかもしれません。しかしこのような形でなかったら、およそ福音を聴くことがなかったであろうローマ兵や、このような仰々しい状態で護送されたパウロだからこそ、会おうとしたユダヤ人がいたかもしれません。いずれにしてもパウロは、予想をはるかに超える多くの人々にイエス・キリストの福音を語ることになるのです。使徒言行録は、しかしパウロの福音宣教が広げられていくところで筆を置きます。ルカはこの後にパウロが処刑されることを知っていましたが、あえてそこまで書かず、福音がローマ世界の中に妨げられることなく広げられていく様を記します。そしてそれは今日に至るまで広げられていき続けているのです。それはこの後に続くわたしたちがさらに付け加えて書き続けられるものだからです。福音は日本にも届けられ、現代に生きるわたしたちの許にまで告げ知らされてきました。今度はわたしたちが、この福音を語り継いでいく者とされています。こうしてキリストの福音は全世界へと広げられていくのです。わたしたちもこの福音の担い手となっていきましょう。