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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第107講:航海途中での難破の危機(使徒言行録27章1~44節)

 

 

〔今週の御言葉 使徒言行録27章1~44節 難破の危機のただ中での平安

 皇帝に上訴したパウロはローマに連行されることになります。パウロはローマに行くことを繰り返し期待し、何度も試みていましたが、このような形でローマに行くことになるとはパウロも考えることができなかったでしょう。「ローマの内海」と呼ばれた地中海を何度も航海してきて、一昼夜海上を漂うような経験もしたパウロには、今回の航海が大変危険なものになると警告をせざるをえませんでした。しかし船員たちの意見を聞いた百人隊長は航海の続行を命じます。そしてそこにエウラキロンという嵐が襲い掛かり、「幾日もの間、太陽も星も見えず、暴風が激しく吹きすさぶので、ついに助かる望みは全く消えうせようとしていた」のでした。もはや助かる一縷の望みさえも絶たれた状況でした。ただ一人を除いて。そうです。このような状況にあってもパウロだけは助かる希望を抱いていました。パウロはみんなに「元気を出しなさい。船は失うが、皆さんのうちだれ一人として命を失う者はないのです」と請け合いこう言いました。「わたしが仕え、礼拝している神からの天使が昨夜わたしのそばに立って、こう言われました。『パウロ、恐れるな。あなたは皇帝の前に出頭しなければならない。神は、一緒に航海しているすべての者を、あなたに任せてくださったのだ』」と。神が約束してくださったのです。この嵐のただ中にあっても必ず守られ、助けられるということを。この約束によってパウロは平安を得ることができたのでした。