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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第99講:弱い人を得るために(使徒言行録21章17~26節)

聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解)

99講:弱い人を得るために(使徒言行録211726節)

 

〔今週の御言葉 使徒言行録211726節 弱い人を得るために

 

 エルサレムに到着したパウロは長老たちから提案を受けます。そこでパウロはその提案を受け入れますが、それはその場限りの一時的で表面的な一致を保つために妥協したのでも、福音の真理を犠牲にしてその場を取り繕おうとしたのでもありませんでした。そうではなくてパウロが信じる主イエスの福音は、ただ自分の主義主張を言い張り、自分の利益と自由を擁護するためのものではなくて、その自由をもって隣人に心から仕えるために与えられたものでした。パウロは主イエスの福音を単なる主義主張の次元でなく、皮相的表面的な次元での律法との対比としてでもなく、真実な自由の生き方へとわたしたちを招いていくものとして、深い次元で理解し、受け止めていたのでした。主イエスの福音はわたしたちを律法から自由にするばかりではなくて、わたしたちが自分の主義主張に縛りつけられて自分の自由と利益にがんじがらめになりながら、自分の思いにからめ取られて生きる生き方からも自由にするものなのです。そして自分とは違う生き方・あり方をする他の人たちの生き方・あり方を理解し、受け止め、それと共に生きる広がりと広さ、心の自由とゆとりを与えるものなのです。たしかにわたしたちはキリストにあって自由とされました。そしてわたしたちに自由を与えてくださる主イエスを信じる信仰によって救われました。しかしその「信仰」とは「愛の実践を伴う信仰」であることを覚える必要があります。