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ルカ1章29~31節a 神のもとにある恵みを見る

〔今週の御言葉-私訳と黙想 ルカ1章29~31節a 神のもとにある恵みを見る〕

 しかし、彼女はその言葉のことでひどく狼狽し、そしてこの挨拶はどういうことなのかと考え込みました。そこで御使いは彼女に言いました。「恐れてはいけません。マリアム、あなたは、神のもとに恵みを見い出したのですから。そして見なさい。あなたは“胎に身ごもり、男の子を産む”でしょう」。

 

 

ガブリエルの言葉にマリアはひどく動揺します。そこでひどくうろたえているマリアに、ガブリエルはこう続けました。「恐れてはいけません。マリアム、なぜならあなたは、神のもとに恵みを見い出したのですから」。ここでマリアはガブリエルから「神のもとに恵みを見い出した」と言われます。これはマリアが「神から恵みをいただいた」ということで「神に恵まれる」ということですが、そこには違いがあるとも言えます。「神から恵みをいただいた」とは、神の側からの働きかけによる客観的な事実を示しますが、それを主観的に受けとめられるかどうかは別です。しかし「恵みを見い出した」とは、マリア自身がそれを認めることができるということで、恵みを授けられているという事実を受けとめ、受け取ることができるという、マリアの側の問題としてとらえているからです。ここでマリアは、ガブリエルから告げられたことが、自分にどんな結果を招くことになるかを分からないわけではありません。そこでこれから先に起こる災難と不幸を予感して、マリアの心は不安と心配で一杯になったでしょう。そこでガブリエルは「恐れてはいけません。あなたは神のもとに恵みを見い出した」と言ったのでした。どんな不安や恐れの中におかれても、そこで恐れる必要はない、なぜならそこにも神のもとに恵みを見い出すことができるからです。そしてその神の恵みとは、神がわたしたちと共にいてくださるということなのです。