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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第69講:アンティオキア教会の問題(使徒言行録14章27節~15章2a節)

聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解)

69講:アンティオキア教会の問題(使徒言行録1427節~15章2a節)

 

〔今週の御言葉-私訳と黙想 使徒1427節~15章2a節 割礼の有無の問題

 

 第一回伝道旅行を終えてアンティオキアに戻ったパウロたちは、さっそく伝道の成果を報告します。伝道旅行は、福音がユダヤ人だけではなく異邦人にも広げられ、その中から信仰を持つ者が起こされ、異邦人キリスト者が誕生したことを意味しました。このことは大きな成果であり祝福ですが、それによりこれまでになかった新たな問題が生じることになりました。ユダヤ教では、ユダヤ教に帰依したい異邦人は割礼を受けることでユダヤ人として受け入れられました。同様にキリスト教も、異邦人には割礼を受けることを要求するかどうかが問題となりました。割礼とはアブラハム契約に入ることを約束するものです。同じアブラハム契約に立つキリスト教も、契約のしるしである割礼は求められて当然と考えるユダヤ人キリスト者がいました。しかしパウロはそのアブラハム契約への加入は洗礼によって表されているのであり、もはや割礼は不要という立場で異邦人伝道を行いましたが、それはユダヤ教に固執するユダヤ人キリスト者にはとうてい容認できるものではありませんでした。それはキリストを信じる異邦人は、割礼を受けることによってアブラハム契約に入れられ、イスラエルに加えられるのであって、割礼を抜きしたキリスト教信仰はありえないというものでした。ここには割礼の有無ということだけではなく、契約に忠実かどうかという問題が問われるものでした。これは、どのように解決されるでしょうか。