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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第48講:タルソスでの逡巡(使徒言行録9章26~31節)

聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解)

48講:タルソスでの逡巡(使徒言行録9章2631節)

 

〔今週の御言葉-私訳と黙想 使徒9章2631節 タルソスでの逡巡

 

 豊かな赦しの交わりを得たエルサレムでの日々は、サウロ暗殺計画のゆえに突然終止符を打たれ、サウロは急ぎ故郷タルソスに向かうことになります。しかしタルソスに戻ってからのサウロの足跡は突然消えてしまいます。再び登場するのはそれから十年後のこと、タルソスに引き込んでいたサウロをバルナバが見い出して、アンティオキアに連れていく時です。それまでのサウロの行動は使徒言行録には記されていません。この雌伏の十年間、サウロはタルソスで何をしていたのでしょうか。サウロはタルソスで引きこもってばかりいたわけではなく、近隣のシリアとキリキアでの宣教活動をしていたことが分かりますが、大した成果を生んだものではなかったようです。サウロ自身は、復活の主イエスに出会った時に、異邦人に対する使徒としての明確な召命を受けていました。それでさっそくアラビアでの伝道に行ったのですが、散々な結果に終り、その後タルソス近郊での伝道にも励みますが、見るほどの成果を生みことが無かったようです。賜物と資質には欠けることがない、むしろ有り余るほどの能力を持ったサウロを、主はどうしてすぐにも用いることを為さらなかったのでしょうか。サウロ自身、大いに迷い、悩み、試行錯誤した十年であったでしょうが、そのこと自体が意味を持っていました。つまりサウロには、さらに熟成する期間が必要であったということです。それによりさらに豊かな働きを為すためでした。