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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第89講:ガラテヤの信徒への手紙

聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解)

89講:ガラテヤの信徒への手紙

 

〔今週の御言葉 ガラテヤの信徒への手紙〕

 

 ガラテヤの教会はパウロの宣教活動によって生み出された教会でした。ところがそのガラテヤ教会が早々と福音を離れて、「ほかの福音」に乗り換えようとしていると聞いたパウロは、叱責の手紙を書き送ります。「ほかの福音といっても、もう一つ別の福音があるわけでは」ありません。彼らは律法主義的キリスト教、ユダヤ主義的キリスト教に移って行こうとしていました。それは単なる分派という問題ではなく福音の本質に関わる問題でした。パウロは心を込めて訴えます。「律法によってはだれも神の御前で義とされない。」「人は律法の実行ではなく、ただイエス・キリストへの信仰によって義とされると知って、わたしたちもキリスト・イエスを信じました。これは、律法の実行ではなく、キリストへの信仰によって義としていただくため」だと。ここでは「律法から生じる自分の義」と「キリストへの信仰による義、信仰に基づいて神から与えられる義」が対比されています。パウロ自身かつてはこの「律法による自分の義」を獲得することにあくせくし、しかしそれでも達成できないままでいました。しかし復活の主イエスに出会い、神に受け入れられる真実の義は、ただ信仰によって得られる義であることを知り、今はその「信仰による義」を追い求め続けています。パウロは、再び律法のくびきの許で自らを律法の奴隷にしようとしているガラテヤの人々に心を込めて、キリストによって与えられた自由を勧めるのでした。