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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第88講:フィレモンへの手紙

聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解)

88講:フィレモンへの手紙

 

〔今週の御言葉 フィレモンへの手紙〕

 

 パウロが獄中から書き送った手紙の中にフィレモン書があります。短い手紙ですがパウロの慈父のような温かく細やかな牧会的配慮を読み取ることができる手紙です。パウロはフィレモンに手紙を書き送りました。コロサイ教会の指導者であったフィレモンは、その愛の実践において好評を博していました。そのフィレモンに、パウロは一つのお願いをします。自分の手元にいて何くれとなく世話をしてくれているオネシモの処遇についてのお願いでした。なぜならオネシモは、元々フィレモンの奴隷だったからでした。ところが金銭上のトラブルを起こしてフィレモンの許から逃亡していたのでした。それがどういう導きか分かりませんが、獄中のパウロと知り合うようになり、信仰に導かれて、信仰の兄弟となり、今や獄中にいるパウロにとっては欠かせない同労者となっていました。しかし立場上いつまでも彼を自分の手元に置いておくわけにはいかないので、本来の所有者であるフィレモンの許に帰したのです。そして彼を帰還させるにあたり、彼を元の奴隷に戻すのではなく、主にある兄弟として受け入れることを願います。そのことを実現するために、パウロは知恵を尽くした配慮に満ちた手紙を書いて、オネシモをフィレモンの許に返すのでした。その勧めに従いフィレモンはオネシモを解放し、主にある兄弟として受け容れます。こうしてかつては役立たない者だった彼は役立つ者(オネシモ)となったのでした。