· 

聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第79講:意気消沈した伝道者パウロ(使徒言行録17章32~34節)

聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解)

79講:意気消沈した伝道者パウロ(使徒言行録173234節)

 

〔今週の御言葉 使徒173234節 意気消沈した伝道者パウロ

 あちこちに偶像が乱立するアテネで、パウロは「あなたがたが知らずに拝んでいるもの」をお知らせしましょうと説教します。その説教は、ギリシャの有名な詩人の言葉もちりばめた、よく考え抜かれたものでした。しかしそれにもかかわらず、人々は話の途中で席を立ち、去ってしまいます。話し手にとってこれほどの屈辱はなく、回心者もわずかであり、パウロは深く落胆し、傷ついた思いでアテネを去ります。これまでの町では、まずユダヤ人の会堂に入って、旧約聖書を根拠として、イエスはキリストであることを論証してきたわけですが、旧約聖書の土台を持たない、唯一の神に無知な人々に語る場合は、これまでとは勝手が違う、特別な知恵が必要でした。そうしてパウロは知恵を尽くして語ったわけですが、物の見事に失敗し、パウロはアテネから逃げるようにして去って行ったのでした。どこに問題があったのでしょうか。しかしパウロの説教内容を検討すると、それは初めての人に良く配慮された見事なものでした。人々が嘲笑しながら去って行ったのは、その内容ではなく、最後に主イエスの復活を語ったことが原因でした。当時のギリシャ・ローマの人々にとって、復活は全くナンセンスなものだからでした。肉体は魂を閉じ込めている牢獄であり、その肉体から魂が解放されることが救いであると考えられていたからでした。しかし復活こそ罪の赦しの確かな保証で、パウロはこれからも復活を語り続けていきます。