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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第71講:弱い人には弱い人のように(使徒言行録15章2節b~30節)

聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解)

71講:弱い人には弱い人のように(使徒言行録15章2節b~30節)

 

〔今週の御言葉 使徒15章2節b~30節 弱い人には弱い人のように

 

 エルサレム会議で問題となったのは、単に割礼を受けるか受けないかという外面的な問題ではなく、割礼や食事規定・清浄規定を律法の通りに遵守することが異邦人キリスト者に要求されることか否かといった問題でした。これはひいては、人がイエス・キリストによって救われるのは、律法を守り行うことによるのか否かという、キリスト教信仰の本質を問う重要問題でした。会議は異邦人に重荷を負わせないと決議しましたが、同時に「偶像に献げられたものと、血と、絞め殺した動物の肉と、みだらな行いを避ける」ことが求められました。これらの条項は、異邦人キリスト者がこれらを守ることによって、異邦人を汚れていると見なすユダヤ人キリスト者と交流し、共同の食事と聖餐を守ることができるようにするための最低限の禁止事項でした。これにより律法遵守に厳格なユダヤ人キリスト者も、分け隔てなく異邦人キリスト者と交わることができるようになります。そこではいわば両者が互いの立場を尊重して互いに譲歩し合うという取り決めがなされたのでした。それは異邦人キリスト者は、食物規定を厳格に順守し、清浄規定を重んじるユダヤ人キリスト者を尊重し、彼らに歩み寄る取り決めであり、逆にユダヤ人キリスト者も食物規定・清浄規定を守らない異邦人キリスト者を拒否せず、歩み寄るものでした。ここには「自分がしてほしくないことは相手にしない」というガマリエルの教えが反映されています。