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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第46講:失敗したダマスコ・アラビア伝道(使徒言行録9章19b~25節)

聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解)

46講:失敗したダマスコ・アラビア伝道(使徒言行録9章19b~25節)

 

〔今週の御言葉 使徒9章19b~25節 失敗したダマスコ・アラビア伝道

 

 栄光に輝く復活の主イエスに出会い、沈黙の三日間を通じて主イエスからの啓示を受けたサウロは、ダマスコですぐさま福音宣教を開始します。すでに律法学者としての訓練を受け、一人前のラビとして働き始めていたサウロでしたから、旧約聖書には深く精通していました。しかしそれを主イエスの啓示によって新しい光で見るようになったサウロは、「イエスがメシアである」ことを見事に論証する準備ができていました。そしてダマスコでの福音宣教を直ちに開始したのでした。そこでの成功を収めたサウロは次にアラビアのナバテア王国に行って福音宣教をしたようです。しかしそれはルカが何も記すことがないほど実りのないものだったようです。自分の能力に対する自信に溢れたサウロは、そこで初めて挫折を経験し、深く落胆したと考えられます。しかしその失敗こそが、この後の大伝道者パウロを生み出す契機となります。福音宣教の働きは、ただ人間的な能力だけで果たせる業ではなく、そこに聖霊の助けと働きがあって初めて成果を得るものです。サウロはこれからの福音宣教の働きが、聖霊の業であり、聖霊が結ばせてくださる実りであることを理解して、聖霊の業に自らを委ね、その導きに従って働く者に変えられます。こうして聖霊の助けを受けた福音宣教の働きは、大きな成果を生み出すものとなっていきますが、そのためには一度自分が挫折を経験して、肉のままの自分に死ぬことが大切なのでした。