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聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解) 第42講:エチオピアの宦官の救い(使徒言行録8章26~40節)

聖霊の力による使徒の働きと教会の発展(使徒言行録講解)

42講:エチオピアの宦官の救い(使徒言行録8章2640節) 221

 

〔今週の御言葉 使徒8章2640節 エチオピアの宦官の救い

 

 フィリポはエルサレムまで礼拝に来たエチオピアの宦官の許に遣わされます。彼は二重の意味で神から遠ざけられていた人でした。第一に彼は異邦人でした。そしてユダヤ教によればイスラエル以外に救いはなく、異邦人が神の恵みにあずかることはないと見なされていました。しかし異邦人がユダヤ人になれば別です。割礼を受け、律法を遵守することで異邦人でもユダヤ人と見なされました。しかし彼は割礼を受けることができません。そして申命記の規定によれば、宦官は主の会衆に加わることが退けられていました。しかし彼は唯一の真の神を求めて、はるばるエチオピアから馬車を走らせてエルサレムまで礼拝にやって来たのです。フィリポから福音を聞いた宦官は、すぐにイエス・キリストを受け入れて洗礼を授けられます。こうして福音はユダヤからサマリア、そして異邦人にまで広げられていくことになります。イエス・キリストによる救いは、イスラエルに限定されるのではなく、異邦人にも広げられ、地の果てにまで拡大していくことになります。その後この宦官がどのようにしたかは分かりませんが、少なくとも3世紀頃にはエチオピアは有数のキリスト教国となり、それは20世紀にまで及び、今日でもコプト教会として残っています。こうしてエルサレムから始められた主イエスの福音は、遠く地の果てにまで広げられ、その翼の陰には、これまで退けられてきた異邦人も受け入れられるものとなります。