聖霊の力 による使徒の働きと教会の発展 (使徒言行録講解第35 講:ステファノの殉教( 使徒言行録 7章 54 60 節) 2021 年1 月3日
アブラハム以来の歴史をたどったステファノの説教は、最後まで強情なまま聖霊に逆ら
い続ける人々に対する悔い改めの呼びかけとなりました。しかし心と耳に割礼を受けてい
なかった彼らは、このステファ ノの言葉を聞いていきり立ち、憤慨して彼を殺害するに至
ります。 ステファノの説教は、そうした彼らに対する厳しい糾弾の言葉として語られてい
きますが、そうして裁きの預言をしたこれまでの預言者の系譜の中にステファノは立ちま
す。つまりこれまでの預言者たちがどうしてそのような厳しい裁きの預言をしたかという
と、そこで予告される破滅が起こらないように彼らに悔い改めを促すためのもので、それ
は悔い改めへの神の招きなのでした。預言者ばかりか、ついには救い主としておいでにな
られた方さえも殺害した彼らに対して、それでもなお悔い改めの呼びかけが為されます。
そして 彼らによって殺されるに及んでも、な お彼らに対する憐れみを神に求めます。「主よ、
この罪を彼らに負わせないでください」と、「主イエスよ、わたしの霊をお受けください」
との祈りは、十字架上で叫ばれたキリストの祈りと重なります。こうしてステファノは、
主イエスの後に従って自分の十字架を追って歩む信仰者の冠となりました(ステファノと
は冠の意)。このステファノの後に続く者には、義の栄冠が約束されています。わたしたち
も、主イエスの後に従って日々の十字架を担いつつ歩む者とされていきたいと思います。