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3月17日(ルカ19章28〜38節)

〔今週の御言葉-私訳と黙想 ルカ19章28~38節 子ろばに乗って入城する平和の王〕

 そしてこれらを話してから彼(イエス)は前〔先〕の方に進み続けて行き、エルサレムに向かって上って行きました。そしてオリーブと呼ばれている山に面したベトファゲとベタニアに近づいた時に、(次のように)言って、弟子たちの中の二人を遣わすということが起こりました。「向こうの村に行きなさい。あなたがたがそこに入って行くと、つながれている子ろばを見つけます。(その子ろばは)まだ誰も乗ったことがないものです。そこでそれをほどいて連れて来なさい。そしてもし誰かがあなたがたに、『何のために(子ろばを)ほどいているのか』と聞いてきたら、『主がそれを必要としておられます』と言いなさい。」

 そこで遣わされた者たちが出かけると、まさしく彼らに言われたとおりであることを見つけました。そこで彼らが子ろばをほどいているとき、その主人たちが彼らに、「何のために子ろばをほどいているのか」と言いました。そこで彼らは「主がそれを必要としておられます」と言いました。そして彼らはそれをイエスのもとに連れて来て、彼らの着物をその子ろばの上に投げかけて、イエスを乗せました。

 そして彼が進んで行かれると、人々は自分たちの着物を道に敷きました。そして彼がいよいよオリーブ山の下り坂に近づくと、弟子たちの群れのすべてが喜びながら、大声で神を賛美し始めて言いました。「来るべき方、主の名によって王(である方)がほめたたえられますように。天には平和が、いと高きところには栄光(があるように)。」

*( )は原文にないが理解のために補ったもの、〔 〕は別の訳。

 

9章51節以来エルサレムを目指して来られた主イエスは、いよいよエルサレムに入城されます。入場に際して主は「まだ誰も乗ったことがない」子ろばを選び、それに乗って入城されます。それはゼカリヤの預言の成就ですが、それは単にろばに乗って入城されたことだけではありませんでした。この王は軍馬に騎乗してではなく、ろばに乗って入城されます。それは「戦いの弓は絶たれ、諸国の民に平和が告げられる」とあるように、戦争を終結させて真の平和をもたらす王として来られたことを約束するものでもありました。軍馬に乗って入城する王は武力によって敵を屈服させ、制圧します。力による支配です。しかし平和の象徴であるろばに乗って入城される王は、武力によってではなく愛によって制圧し、支配する方です。その王国は地上の他の国とはまったく違う、愛による支配によって保たれる国なのです。その入城に際して弟子たちが歓呼の声をあげますが、そこで呼び交わされた賛美は、かつて主イエスが誕生されたときに天使たちによって歌われた賛美でした。宿に泊まることもできずに飼い葉桶にお生まれくださった王は、軽んじられている者、ないがしろにされている者、物の数にも入れられていない者、評価されていない者など小さい者にこそ目を向けてくださり、いつくしんでくださり、大切にしてくださる方です。その方は誰からも相手にされていない小さな子ろばをも用いてくださる方なのです。