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3月4日(ルカ14章7〜14節)

〔今週の御言葉-私訳と黙想 ルカ14章7~14節 真実にへりくだる者に〕

 さて彼(イエス)は、招かれた人たちがどうにかして上座を選び取ろうとしているのをじっと見ながら、彼らに向かって譬を言われました。「あなたがたが誰かによって婚礼の宴会に招待されたときには、上座に横たわってはいけません*。彼(主人)によってあなたよりもずっと身分の高い人が招待されるといけないからです。するとあなたと彼(身分の高い人)を招待した人が来て、あなたに「この席をゆずってください」と言うでしょう。するとそのときあなたは恥をかいて末席に着くことになります。むしろあなたが招待されたときには、行って最後の席に横になりなさい。あなたを招待した人が来て、あなたに「友よ、より高い席に進んでください」と言うでしょう。そのとき、一緒に宴会の席に着いているすべての人たちの前で、あなたにとって名誉となるでしょう。なぜなら、自分自身を高くする人は低くされるでしょうし、自分自身を低くする人は高くされるでしょうから。」

 彼(イエス)はまた彼を招待した人にも言いました。「あなたが食事や宴会をもよおすときには、あなたの友人たちを呼んではいけません。あなたの兄弟たちも(呼んでは)いけません。またあなたの親戚たちも(呼んでは)いけません。また近所の金持ちたちも(呼んでは)いけません。彼らもまたあなたを招待することで、あなたにお返しがされることがないためです。むしろ宴会をもよおすときには、貧しい人たち、体の不自由な人たち、足の不自由な人たち、目の見えない人たちを招待しなさい。するとあなたは幸いな人になるでしょう。なぜなら彼らはあなたにお返しできないからです。しかし義人の復活のとき、あなたにお返しがされるでしょう。」

( )は原文にはないが説明の付加した言葉。

*当時の正式な宴会は椅子に座るのではなく、左ひじを立てて座椅子に横たわりました。そして右手で食卓の上にある食べ物、飲み物を取って飲み食いしました。

 

 ここでの主イエスの言葉はわたしたちに戸惑いを覚えさせます。というのは、この言葉は主イエスらしくないからです。本当はもっと上座に着くために偽装した謙虚さを見せる、あえて末席に着くことで、実はもっと上座に着くように仕向けさせようと謙遜ぶる、こうした偽善ほど主イエスが嫌い、しりぞけられることはないはずだからです。するとわたしたちは、ただこの主の言葉の字面を読むのではなく、その真意を見極める必要があります。わたしたちはいつも他人からの評価を気にし、自分がどのような位置に置かれているかを気にします。しかし一番大切なことは人間からの評価ではなくて、神からの評価ではないでしょうか。神が自分をどのように評価してくださるのか、それにふさわしく生きることが求められています。わたしたちは自分の人生における席について神に不平を鳴らすことがあるかもしれません。それはつまり自分が置かれた環境ですが、わたしはもっと良い地位や恵まれた環境を与えられてしかるべきではないかと神に文句を言うのです。しかしそうしてどこまでも自分中心にしか考えようとしない、とことん自己中心なわたしたちがそこで自我を砕かれる場所こそ、今置かれている場所ではないでしょうか。この席は間違っていると思う、まさにそこで神はわたしたちの自我を砕き、真実に謙遜な者へと造りかえていこうとされるのです。そこでわたしたちを真実にへりくだる者としてくださるのです。