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8月20日(ルカ12章13-21節)

〔今週の御言葉-私訳と黙想 ルカ12章13~21節 まことの命を求めること〕

 さて群衆(の中)からある人が彼(イエス)に言いました。「先生、わたしと相続財産で争っているわたしの兄弟に言ってください。」そこで彼(イエス)は彼に言いました。「人よ、誰がわたしを裁判官あるいは調停者としてあなたがたの上に任命しましたか。」そして彼は彼らに向かって言いました。「あらゆる貪欲に注意し、警戒し続けなさい。なぜなら彼の命は彼が持っている何かが豊かであるからということにはないからです。そして彼は彼らに向かって譬を言いました。『ある金持ちの土地が豊作でした。そこで彼は自分の中で言いながら思い巡らしました。「わたしは何をしようか。わたしの収穫物を集める場所を持っていない。」そこで彼は言いました。「わたしはこれをしよう。わたしの蔵を取り壊してもっと大きな(蔵)を建てよう。そしてそこに穀物のすべてとわたしの財産を集めよう。そしてわたしの魂に言おう。『魂よ、わたしは多くの年々のために蓄えて多くの財産を持っている。休もう。食べよう。飲もう、おおいに楽しもう。』しかし神は彼に言いました『愚かな人よ、この夜あなたの魂はあなたから返還される。すると(あなたが)用意したものは誰にものになるだろうか。』自分自身のために蓄えて、神に向かって富まない人は、ちょうどこのようです。」

*( )は原文にはないが説明のために付加した言葉。

 

 厳しい迫害下の中で地上の命を惜しむあまりに信仰を否定して、永遠の命を損なうことにならないようにと主イエスは語りました。その直後に語られたのがこの譬です。ですからこの譬はその前と直結して考える必要があります。ここに登場する金持ちは「愚か」と言われますが、が愚かなのでしょうか。彼は一生懸命に働き、その努力で多くの収穫物を得ました。彼が汗水たらして労苦し、それによって蓄えた財産によって喜び楽しむことは愚かなことでしょうか。いいえ。彼が自分の財産をどのように用いるかということが、ここで問題となっているわけではありません。しかし彼の心は、多くの財産を蓄えられたことで安心し、この先何年も大丈夫だと考えました。ところがその彼に神が語ったことは、「この夜あなたの魂はあなたから返還される」ということでした。彼の愚かさは、彼が自分の安心を地上の財産に置いていたことにありました。「なぜなら彼の命は彼が持っている何かが豊かであるからということにはないからです。」彼は地上の生活については心を使いましたが、その先にあることへの備えは何もしていませんでした。その先にあるものとは何でしょうか。それは死です。彼は地上の生活のためには備えをしましたが、その先にある自分の死に対する備えはしなかった、それが彼の「愚かさ」でした。地上のものに捕えられて真の命を損なうことがないように、わたしたちも注意すべきではないでしょうか。