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11月1日(ルカ8章26~31節)

〔今週の御言葉-私訳と黙想 ルカ8章26~31節 悪霊を支配する主権の支配者〕

 そして彼らはガリラヤ湖の向こう側にあるゲラサ人の地方に舟で着きました。そして陸に上がると、彼(イエス)はその町の出身の悪霊にとりつかれたある男に出会いました。彼は長い間着物を着ないままで、また家に留まることなく、墓場の中に(住んでいました)。しかし彼がイエスを見ると、悲鳴を上げながら彼の前にひれ伏し、大きな声で言いました。「わたしとあなたとは何(の関係があるの)ですか。いと高き神の御子イエスよ。あなたにお願いします。わたしを痛めつけないでください。」というのは、彼(イエス)がその男から出て行くようにと汚れた霊に命じたからでした。(その悪霊は)彼を長い間力ずくで捕まえ続けてきていたからでした。それで彼は鎖や足枷で縛られながら監視されていましたが、その鎖を引きちぎり、その悪霊によって何度も荒れ野へと追いやられていました。そこでイエスは彼に尋ねました。「お前の名は何か。」そこで彼は「レギオン(軍団)」と言いました。なぜなら彼の中には多くの悪霊が入っていたからでした。そしてそれらは彼(イエス)に、底なしの淵に立ち去るようにと命じないように懇願しました。

*( )は説明のために付加した言葉で原文にはない。

 

 ゲラサ人の地方、それは悪霊が跳梁跋扈し、支配する領域でした。そしてそれを象徴する人物がいました。軍団と言えるほどの多くの悪霊に支配された男でした。彼は人間の家ではなく死者の家(墓)に住み、人間関係を拒絶して生きていました。自傷的・自虐的で、手のつけられない乱暴者だったので、鎖や足枷で拘束されますが、それを何度も引きちぎっては荒れ野へと駆り立てられていました。彼は、圧倒する悪霊の力によって完全に支配され、自分で自分をどうすることもできない状態におかれていたのでした。これは何も古代の話ではなく、現代を生きるわたしたち自身を象徴した姿かもしれません。それは人間関係に傷つけられながら、自分でも他者を傷つけて、自分の殻に閉じこもり、自分で自分をどうすることもできずに苦しんでいる、そんなわたしたちの姿なのではないでしょうか。わたしたちを抑え込み、自分でもどうにもならない状態に陥れる、まさに悪霊に支配されてしまうわたしたちのことでもあります。しかしその悪霊は、主イエスの正体を知っていました。「いと高き神の御子」、それが主イエスです。そしてその主イエスの前には、どんなに強力な悪霊もなすすべを持ちません。悪霊は主イエスによって完全に支配され、その意のままにしか動くことができません。わたしたちは悪霊をも支配する主権者の守りの中で生きています。悪霊をも統御される支配者の守りを見上げつつ、信頼していきましょう。