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8月23日(ルカ7章36~50節)

〔今週の御言葉-私訳と黙想 ルカ7章36~50節 多く赦された人は多く愛する〕

 ところでファリサイ派の人々の中のある人が彼(イエス)に、自分と共に食事をすることをお願いしました。そこで彼はそのファリサイ派の人の家の中に入って行き、横たわり〔食事の席に着き〕ました。すると見なさい。その町に罪人の女性がいて、彼女はそのファリサイ派の人の家で彼(イエス)が横たわって〔食事の席に着いて〕いることを知り、香油の雪花石膏〔アラバスター〕の瓶を持って来ました。そして彼の足のそばの後ろに立ち、声を上げて泣いて彼の足を涙で濡らし始めました。そして自分の頭の髪の毛で何度も拭き取り、彼の足に何度も口づけしながら香油を塗り続けました。しかし彼を招待したファリサイ派の人は見ながら、自分自身の〔心の〕中で言って語りました。「もしこの人が預言者であるなら、自分に触れている女が誰であり、またどんな類の者か分かるだろう。彼女は罪人であるから。」そこでイエスは彼に向かって答えて言いました。「シモン、わたしはあなたに言うことがある。」そこで彼は、「先生、言ってください」と言いました。「ある金貸しに二人の借金をしている人たちがいました。一人は500デナリの負債があり、もう一人は50デナリでした。彼らは返済するものを持っていなかったので、彼(金貸し)は彼ら両方を赦してやりました。それでは、彼をより熱心に愛するのは、彼らの内のどちらだろうか。」シモンは答えて言いました。「より多く赦された者の方だと思いますが。」そこで彼(イエス)は彼(シモン)に言いました。「あなたは正しく判断した。」そして彼はその女性の方を振り向きながら、シモンに言いました。「あなたはこの女を見ていますか。わたしがあなたの家の中に入って来た(とき)、あなたはわたしに足のための(洗う)水をくれなかった。しかし彼女は涙でわたしの足をぬらしてくれた。そして彼女の髪の毛で拭き取ってくれた。あなたはわたしに口づけしてくれなかった。しかし彼女は、わたしが入って来た時からわたしの足に何度も口づけしてやめようとしなかった。あなたはわたしの頭にオリーブ油を塗ってくれなかった。しかし彼女はわたしの足に香油を塗ってくれた。それだからわたしはあなたに言います。彼女の多くの罪は赦された。彼女は多く愛したからだ。少ししか赦されない者は、少ししか愛さない。」そして彼女に言いました。「あなたの罪は赦された。」すると一緒に食事の席に着いていた人々が自分自身の〔心の〕中で言い始めました。「この人は何者だ。罪を赦すとは。」しかし彼(イエス)は彼女に向かって言いました。「あなたの信仰があなたを救った。平安の中で行きなさい。」

( )は説明のために付加した言葉で原文にはない。〔 〕は別の訳。

 

 罪の女として町で評判の女性が、潔さを最も重んじるファリサイ派の人の家に入ることには、勇気が必要だったと考えられます。ここはお前の来る所ではないと、行く手を阻まれて目的を果たすことができないかもしれません。また自分がしようとする行為を、主イエスが受け入れてくださるかどうかも不確かでした。けれども彼女は意を決して家に入り、主イエスの足を涙で濡らし、香油を塗って、髪の毛で拭いました。それにより彼女の罪の汚れがご自身に移ることも意に介さず、主イエスは彼女のなすがままにされました。そこで塗られた香油はアラバスターの壺に入れられた非常に高価なもので、おそらく彼女の持てる最上のものでした。そのすべてを主イエスに注ぐことで、彼女はその香油に象徴されたこれまでの罪の生活と決別し、それを清算しようとしたのでした。主イエスは、この彼女の行為と共に彼女自身をも受け入れられ、彼女に宣言されました。「あなたの罪は赦された」と。そこで主イエスが言われた「彼女の多くの罪は赦された。彼女は多く愛したからだ」とは、彼女が愛の行為をしたので、罪が赦されたということではありません。その前に主の赦しがありました。そしてその赦しを信じた彼女が、感謝を込めて主イエスへの一途な愛を表わしたのでした。わたしたちにも罪の赦しが必要です。そして主イエスはわたしたちにも「あなたの罪は赦された。平安の中で行きなさい」と約束してくださるのです。